症状から考えるケア方法
屈腱炎(エビ)が発生したら
毎日、脚を触ることで馬の脚の変化を見つけられるようになることが重要です。
どんなに小さいものでも、これを見逃さないで処置をすれば最小限に止められることを忘れないでください! 初めの24時間がとても重要になってきます!
屈腱の炎症を見つけたら・・・
レーザーによる処置が可能な場合
すぐに脚を【20分程度冷却→レーザーを当てる】を3クルー、できるだけ毎日、午前と午後に行なう事が望ましいです。
脚の冷却中は、レーザーで頸、肩、ヒザ上から肘までの筋肉をほぐして血行をよくし筋肉の伸びが腱を助けやすい状態を作ることで腱が楽になります。
3クルーが終わったら消炎作用のある薬を塗ります。(DMSOを使用した場合、絶対にバンテージなどを使用してはなりません。)
レーザーによる処置が不可能な場合
脚を冷やしている間、筋肉をほぐすためマッサージローションで特に両肩~両ヒザまでを良くマッサージしましょう。できれば身体全体が理想的です。
ほとんどの馬が片方の脚に屈腱炎を発症しますが、反対側にも負担がかかるため、ケアをする際には、必ず両方の脚をケアすることで予防策となります。脚の冷却後は、消炎作用のある薬を塗ります。(1日2回以上行なう)
薬を塗った後に、4時間ほど時間を空けて市販の磁気などを貼るか、伸縮性のバンテージに磁気を付けておくと効果があります。(夜の間だけ使用するのが理想的)
※注意事項:磁気は、続けて12時間以上は使用しないようにしてください。磁気を使用した後にレーザーなど使用する場合は、4時間ほど時間を空けてから使用してください。
バンテージについて
引き運動や調教の際に必ず伸縮性のバンテージを使用しましょう、腱を助ける役目をします。
馬房においては、軽度の屈腱炎の場合は、バンテージ、肢巻などを巻かないでください。
※屈腱炎が出たら馬房で肢巻を使用しているのを見かけますが、これによって炎症が酷くなる場合があります。
重度の場合には、馬房でも肢巻を使用しますが、これには細心の注意をしながら巻いてください。巻き方は、同じ力で締め、屈腱の部分で強く締め過ぎないよう注意しましょう。
自信の無い場合は、肢巻のベテランのスタッフの方等にお願いするのが一番です。
スクミ(メタボリックシンドローム)
見つけ方
スクミは、脱水症状から来るもの、遺伝から来るもの、濃厚飼料の取りすぎなどから来ることが考えられます。
脱水症状を確かめる為に頸の皮を引っ張って皮膚の戻り方を見ます。
運動では、
・破行していない状態で停止し、また歩き出したら破行というかロボットのような動きになった
・「急に動かなくなったのに、何時間か後には破行が解消されていた」
などの場合、スクミを疑います。
血液検査をしてもらうと分かるものでもあります。
筋肉にでる症状
スクミになると、普通は後ろ脚の部分、中臀筋(ちゅうでんきん)浅臀筋(せんでんきん)大腿二頭筋の筋肉が筋肉疲労を起こして硬くなる、または機能しなくなります。本当にひどいものになると前肩にもその症状は現れます。ので、この症状が出た場合、筋肉の疲労・負担は相当大きく、激しく痛むため、無理な運動は避け、運動量、飼い葉のバランスに注意します。
※競馬の追い切りなどを行なった場合に起こりやすい症状です。
尿について
ひどいものは血尿が出るので分かりやすいですが、尿の臭いや色に注意します。
※尿の色が透明色に近い場合は注意しておく必要があります。
治療に関する注意
競馬における追い切り、レース後の筋肉のトリートメント方法は、炎症を起こしている場合には筋肉に熱があるので、その日は、筋肉の熱を取るために冷やすか、冷えるローションなどでマッサージをするだけに止めます。
1日~3日後に、筋肉注射やレーザー治療やマッサージは、熱が治まってから行うことが望ましい。もちろん、熱が取れれば筋肉は暖めるほうが良いです。
飼い葉について
栄養バランスを取り消化の良いものを与える、発汗作用を促し尿の出が良くなるようなもの(電解質など)を与えることで体の新陳代謝を促すことがスクミの予防となる(重曹は効き目あり)筋肉を助けるためにMSNなど。
※激しい発汗を伴う調教の後、電解質を30分以内に与えることで、失われた水や塩分を補給でき体の機能の回復に効果を発揮します。
関節炎による跛行について
症状
関節炎による最初の症状は、肩の出が悪いように見えるので、肩なのか脚なのかの判断が付きにくく、左か右の判断も分かりにくいです。速歩の出だしに悪い歩様がでるけれどもキャンターになると大丈夫と思える歩様が続きます。症状が悪化すると調教中は破行しているが引き運動での破行は見つけられない場合が多くみられます。
治療
この場合は、獣医師にすぐにでも関節の薬(ジョイントフード)の飼い葉への投与とハイオネ―ト、アデクァンなどの関節液を補充できる注射を処方してもらいます。調教は控えますが、適度な運動は必要です。
背中から腰の痛みについて(キッシングスパイン)
症状
背中、腰の背骨をやさしく触ってみると、突起部分が感じられます。本来骨と骨の間には隙間があり、大きく凸と感じられる部分があればそこがくっついていると思われます。この場合、腰プラだとか背中が痛いとか頭が高いなど、乗り手からの指摘があったりします。
筋肉の痛み
背骨の突起部分の骨と骨がこすれているためと脊髄部分の骨同士が摩擦を起こして痛みが生じます。そのためその周囲の筋肉が異常に緊張して筋肉疲労が起こり、背中筋肉部分にも熱を持ち、馬が異常に痛がるケースが多くみられます。
ケア方法
筋肉に熱がある場合(体の他の部分を触って熱の違いが分かるとき)は、できるだけ筋肉の熱を取ってあげるのが望ましいです。夏場であれば水で冷やすという方法も有効ですが、冬場の場合は馬が風邪を引いたりするので、短い間だけ部分的にアイスシングして消炎作用のある薬を使用する方法をとって、筋肉の熱が治まったところで、レーザー治療や獣医師からの筋肉注射を行うほうがより効果的です。
ストレッチ方法
マッサージ方法:背骨の突起部分は、絶対に強く押さえないこと! できるだけ周りの筋肉を解すようにやさしく手の平で温めていき、親指で少しずつ刺激を与えます。馬が気持ち良さそうにしていればOKです。痛がるようなマッサージは馬にストレスを与えることになるのでご注意ください。
※キッシングスパインは関節、骨の問題のため、獣医師より関節に関する処方をしてもらうことが必要です。
ジョイントフードとハイオネート、アデクァンなどのを処方してもらってください。少しでも馬の痛みを軽減できます。